『パールへの道』1:カードはほとんど買ってもらえませんでした

クラウドファンディングの特別企画として、どんなきっかけでカードゲームを作るようになったのか、なぜそれほどまでにカードゲームに思い入れがあるのかを書いてみようと思います。

たぶん、今まで書いたことのない、赤裸々な内容になるんじゃないかな。

 

というのも、これはぼくの発案ではなく、facebookつながりの田原真人さんのアイデアだからです。クラウドファンディングに興味を持ってもらうための企画であると共に、「スギオカさんのカードゲームへの思いを聞いてみたい」と。つまり、たずねられたことに答える形なんですね。ならば、正直にお話ししましょう、と。自分から秘密を言ってまわりはしませんが、たずねられれば答えられるので。

では、始まり、始まり~。

 

 

さて、タイトルの「カード」は実はカードゲームのことではありません。ズバリ「仮面ライダー」カードを指しています。かっぱえびせんでおなじみのカルビーが発売した、仮面ライダー・スナック。そのお菓子におまけとしてついていたカードです。Wikipediaによれば、発売されたのは1971~73年にかけてとのこと。当時ぼくは小学校低学年でした。

 

これまたWikipediaによれば、くだんのお菓子は1袋20円だったようです。ずいぶん手頃なお値段という感じもしますが、それは今の感覚だから。当時はちょっとした金額でしたし、何よりうちにはあまりお金がありませんでした。

 

父親は銀行員だったので、赤貧というほどではありませんでした。が、何しろこの父親が絵に描いたような亭主関白で、自分が使いたいだけを給料から抜き、残りを家にいれるという形だったのです。

ゴルフと麻雀が趣味で、部下にもよくおごっていたらしく…。結果、ぼくのおやつにまではお金がまわってきませんでした。仮面ライダー・カードに関して言えば、まったく持っていなかったわけではありませんが、本当に数えるほどだったと思います。

 

さらに言えば、カードを欲しいだけの子供は、本体であるスナック菓子を川などに投げ捨てていました。それもまた「もったいないなぁ~」と思ったものです。

その原体験のようなものが、現在のカードゲームに対する嗜好にも反映されています。

 

 

遊戯王』や『ポケモン』など、それぞれの人が自分のデッキ(規定枚数のセット)を作るタイプのゲームは、「トレーディング・カード・ゲーム」と呼ばれます。で、それはそれで大変おもしろいのですが、仮面ライダー・カードの記憶がぼくをその種のゲームから遠ざけるのです。

 

つまり、コレクション・タイプのものは、どうしても最終的には資本勝負になります。仮面ライダー・カードもそうでしたが、なかなか出ないカードは「レアカード」として大きな価値を持ちます。そして、昔は枚数に差をつける交換だったところ、今では専門ショップにおいて高額で取り引きをされるのです。つまり、ゲームではあるものの、現実のお金と密接に結びついているんですね。

ぼくはそれを、ちょっと「さえんなぁ~」と思うのです。「さえん」というのは広島の方言で「冴えない」というほどの意味。誰かがつまらない思いをするのは、さえんなぁ、と。そんな風に思ってしまうわけです。

 

 

青い街も、将来的にはトレーディング・カード・ゲーム的なものを作るかも知れません。ただ、そこにはぼくならではのヒネリが入ると思います。

いずれにせよ、まずはセット完結するタイプのゲームにこだわっているのは、「さえん人がおらん」ようにしたいからなのです。

 

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回は「表は経済、裏は美術」です。